その声に、ゆっくりと振り返る拓馬。


「え……」


そこには、竜太が立っていたのだ。


「竜太……竜太!」


拓馬は走り出し、竜太に抱きついた。


「おい、おい。気持ち悪ぃよ。なんだよ、急に?」


「お前、死んだんじゃなかったのかよ?」


「は?俺が、あんな奴らに殺されるわけねぇじゃねぇか」


と、笑いだす竜太。拓馬は、竜太の姿を見た。


鎧はほとんど割れていて、剣もボロボロだ。強がっているが、相当大変な戦闘だったに違いない。


「竜太……生きてて、本当によかった……」


再び、涙が溢れてくる拓馬。


「なんだよ、死んだと思ってたのか?俺を見くびんじゃねぇよ」


「よかった……」


「拓馬、それより、泣いてる場合じゃねぇぞ。早く、アークデーモンを見つけねぇと」


「そうだな。行くか!」


二人は、廊下を走り出した。そのとき気づく、一つの異変。


「……なぁ、竜太」


「なんだ?」


「なんか、おかしくねぇか?」


「何がだよ?」


「何て言うか……敵が、本気じゃないような気がする。俺たちを、誘い込んでるような……」


「え?」


急に立ち止まる竜太。拓馬も、立ち止まった。


「何で、そう思うんだよ?」


「だって……なんで、ソルジャークラスの強敵を出してこないんだ?いっぱいいるんだろ、モンスターは。これほど広い城だ、何千とモンスターはいるはずだ。でも、俺に出会ったのは、たったの数体。しかも、ザコばっかだ。ソルジャーとは、さっき初めて戦った」


「そう言われれば、そうだな……」


考え込む竜太。


「俺も囮になって戦ったモンスターは、ザコばっかだった。だから、ここまで来れた」


その言葉に、拓馬も考え込んだ。


「怪しいな……どうする、竜太?」


「うーん……」