「……」


再び、無言になり俯く竜太。


「……竜太?」


「俺が、囮になる。拓馬、お前はその隙にアークデーモンを倒してくれ」


「え?」


笑顔でそう言う竜太。このとき拓馬は、冗談だと思った。


「バカヤロー。今、見ただろ?お前が囮になったところで、1分と持ちゃしねぇよ」


「でも、それしかねぇ。二人でどの入り口から入っても、最低五十のモンスターと戦わなきゃならねぇ。しかも、戦ってる間に他のモンスターも集まってくる。この城の大きさだ。中には、一万体くらいいるかもしれねぇ。一人がやれるだけ、できる限り目立った戦闘をして時間を稼ぐんだ。それしか、方法はねぇ」


だんだんと、竜太が真剣なことに気づく拓馬。


「お前……本気で言ってんのか?」


「ああ。一体でも多く、中にいるモンスターを引きつける」


「……やめとけ」