見てたら荘和君は奥からブランケットを出してきてくれた


「すいません…ありがとう。」


「あぁいいよ。沢山あるから気にしないで。」


荘和君はそぉ言ってまたニカッと笑った


そして桜汰君に聞こえないような小さい声で


「桜汰がこんなに女に優しいなんて初めてだよ。
あいついい奴だからヨロシクな」


って言った


その言葉に自然に顔が赤くなる


それって


桜汰君にとって私が特別ってこと??


「花穂ちゃん行くよ!!」



「うん。じゃあ荘和君ごちそうさまでした!!」


「はいよ。またな。」


桜汰君が先に店を出たから荘和君に挨拶だけして

彼を追い掛けた


店から家まで歩いて20分くらい


11月の初めっていっても夜は寒い



息を吐くと少しだけ白くて

冷たい空気が私たちの頬をかすめた


後ろから見る桜汰君の背中はとても大きくて


それを見つめてたら


さっきの事を思い出してしまった


『花穂……』


初めて呼び捨てされちゃった


低くて甘い声


それだけで自分の身体が一瞬だけ女に戻った気がした