ジルにこの日記を渡しておこう。

 もし万が一、を考えて。

 ジル、私がもし無事でなかったらここから逃げなさい。

 嫌がらせどころか命に関わるわ。

 大丈夫、ジュスティーヌ様に貰ったお給金があればしばらくは暮らせるはず。

 もうちょっと高望みするならジュスティーヌ様に囲ってもらえるかもしれない。一応あたってみるように。

 さてお呼びがかかった。こんな豪華なドレス、別の場所で着てみたかったなぁ。

     一八八八年 八月三十日 メアリ・マーレイの日記