ホワイトチャペルの続き? そんなまさか。

 連続殺人だ。頭が重い。

 ヤード(市警)に来る投書はほとんどが役に立たない法螺ばかり。

 仕分けをする俺の身にもなって欲しいよ、全く。

 君も気をつけて欲しい。

 ちょっとこの事件は普通じゃない。

 殺されているのは娼婦ばかりだが、だからといって娼婦じゃなければ安全と言うわけでもない。

 何の恨みがあって、こんなにひどい殺し方をするのか。

 彼の諮問(しもん)探偵が動くのも時間の問題じゃないか?

 彼は今倫敦にいないようだが、そのうち連絡が行くに違いない。

 いや、そうだと思いたいのかもな。

 彼ならなんとかしてくれる、と。

 そういえば、君が見たいと言っていたバベッジ氏の機関、博物館にあるらしい。

 今度倫敦に来るときは連絡をくれ。案内しよう。

     一八八八年 八月三十一日 ジョージ・サンダーソンの手紙より抜粋