亜紀ちゃんに怒られながらも、手早くグロスを直してお店に出た。


お店に出ると、さっきまでいなかった琢磨が接客をしていた。

やっぱり、と言うべきか女性客からのオーダーばかり取らされてる感じ。


「都築が怒りながら探しに行ったぞ?」

「マジ? やば……」


同じタイミングで厨房に戻った時、琢磨が小声で言った。

鉢合わせしなくて良かった……。


「気を付けろよ、色々」

「……ん、わかってる」


琢磨が言ってるのは多分、圭吾のこと。


バレないように気を付けろって意味だと思う。

多分、圭吾と一緒だったと思ってるんだろう。


……その通り、だけどさ。



「真央ー、交代。ご飯食べたら、そのまま遊んできていいよ」

「ありがとー」


午後に入った頃、ようやくお昼休憩に入った。


「真央待った! 一緒に飯食わねぇ?」

「いいよ」


琢磨もお昼休憩らしく、二人で浴衣のまま校内を歩いた。


……なんか視線を感じる。

あ、そっか。

隣りにいるのが琢磨だからか。


屋台をいくつか回って、裏庭のベンチに腰を下ろした。


「買いすぎちゃったかな?」

「真央なら食えんだろ」

「……それ、どういう意味よ?」

小さく睨むと、琢磨はニッと笑った。



「彼氏、元気?」

「…………」