家に帰って、まず掃除をした。

やっぱり初めて来るわけだし、きれいにしときたいじゃん。


……って、いつもが汚いみたいだけど、そういうわけではない。


それからご飯とケーキを作り始めた。

あまり甘い物が得意じゃない圭吾のために、甘さを控えたチョコケーキ。


料理を作ってる時、ふと、さっきの光景を思い出した。


頬を赤らめた女の子。

さっき遥が言ってたD組の子なのかな。


圭吾、受け取ったの……?





ピンポーン

もう少しでご飯が出来るって頃、チャイムが鳴った。


「はーい」

「ただいま」


「……おかえ、り」

──なんか照れる。

圭吾はクスッと笑って、そんな私の頭をぽんっと撫でた。


「入っていい?」

「あ、うん」

「へぇ、きれいにしてんじゃん」

「……一応ね。座ってて。もうすぐ出来るから」

うちにはソファがないから、クッションに座ってもらう。


……今度、陽子叔母さんにソファ買ってもいいか、相談してみようかな。


「一応ビール買っといたけど、飲む?」

「おっ、気が利くじゃん」


私はもちろん飲まないけどね。