「久我っち、今日、誕生日なんだってねー」
お弁当を食べ終わって、窓際で話してる時だった。
遥がいきなり圭吾の名前を出すから、飲んでたジュース、吹き出すかと思った。
「そう、らしいね」
知らないフリも一瞬浮かんだけど、あちらこちらでそんな話を耳にしてたから、知ってても怪しまれはしないだろう。
「朝、D組の子がプレゼント渡すとか言ってんの聞いちゃったんだけど、久我っち、受け取るのかな?」
……やだな。
受け取って欲しくないよ。
「どうだろう? 先生は受け取らないと思うな」
思わず紗依子の顔を見た。
「なんで?」
そう思うの?
「だってさ、受け取ってたらキリないでしょ」
……そういうことか。
確かに圭吾のファンって一年生だけじゃなくて上級生の中にもいるっていうし。
「それに……」
え?
「先生、彼女いるでしょ」
「そうなの? 久我っちって彼女いるんだ!」
……一瞬、紗依子が私を見たような気がした……のは、気のせいだと思いたい……。