「……え?」


圭吾はまだ、うちに来たことはなかった。


──やっぱり、誰かに見られることを警戒してたから。


「で、飯作ってよ」

「……そんなんでいいの?」

「お前なぁ……。俺の希望を“そんなん”って言うなよ」


「わかった」

私は圭吾の肩に頭を乗せた。


圭吾はそんな私の頭を優しく撫でてくれる。



落ち着く場所を見つけた。


圭吾に頭を撫でられて、だんだん眠くなってきた。


「……ベッド、行く?」

「……行かないし」

「つれないなぁ」

そう言いながらも、圭吾はクスクス笑ってた。





そして。

あっという間に誕生日当日。


プレゼントは買わなくてもいいって言われた。

むしろ、“買うな”ぐらいの勢いで。


だけど、圭吾からもらってばかりだから、私も何かあげたい。


最初はジッポにしようと思ってたのをやめて、ネクタイにした。


ジッポならいつでも持っててもらえると思ったけど、ネクタイの方が手頃だから、気持ちの負担にはならないだろうと思って。

普段は使わなくても、持ってて損はないと思うし。