「 は~。終わった、終わった! 」
私、柳 凛菜。中学1年生。6時間目の数学を終えて、気抜けする。
「 凛菜、一緒に帰ろう。 」
「 あっ、愛! いいよ。 」
親友の愛は、幼稚園の頃から仲良し。親も仲が良くて、幼馴染でもある。頭も良くて
運動も出来て・・・・・・何より可愛い!! 勉強もそこそこ、運動能力も大して良くない私が
愛と釣り合うわけでもない。だけど、小さい頃から一緒だったし、気も合う。私にとっ
て、【 親友 心友 】と言える子。
「 ねえ、凛菜・・・・・・話があるんだけど・・・。 」
「 ん、何? どーんと来い! 」
私は胸を張って言う。だけど、愛は言いずらそう。
「 ・・・・・・あ、あのね・・・私、好きな人が出来たの・・・・・・。 」
愛が!! 恋をするなんて!
「 誰、誰っ? 」
私は愛の口に耳を傾ける。
「 ・・・・・・矢沢 修・・・君! 」
・・・・・・? 誰だ、それ。私は必死で頭の中で人物データをかき回す。
「 ・・・あっ!! 同じクラスだったよね。 」
「 うん、そうだよ。忘れてたでしょ。 」
「 あっ・・・・・・ううん! 矢田なんて忘れるわけないじゃん! 」
私は笑ってごまかす。
「 ・・・・・・矢田じゃなくて矢沢君。ほら、やっぱり忘れてた。 」
「 ・・・・・・。 」
もう、何も言えない。はあ、愛は察しがいいなあ。確か矢沢って、学年1モテる人だ
よね。でも、きっと愛の恋は叶うと思うよ。可愛いし、優しいし、気が利くもん。