「ア、アタシたちお邪魔みたいねレオッ!」

「やだなぁ、店長は生きてるだけで邪魔ですよぉ。とりあえず仕事に戻ってくれます?」

「レオのいけずぅぅぅう!!」


店長が飛び出していくのが分かると、ちぃ君が「ごゆっくり」と言うのが聞こえて、個室は静寂を取り戻す。


恐る恐る両手から顔を覗かせると、やっぱり黙々とパスタを食べてる忍。


……ああ、やっぱり息苦しいわ。


緊張するなんて、柄じゃないのに。


「食わねぇの? 美味いけど」

「……胸がいっぱいなのよ」


ほら、またそれ。


キョトンとしてから、声を出さずに笑う忍の癖。それがどれほどあたしの心臓に悪いか、分かってる?


「胸のあたりが窮屈……」

「苺そんなに胸なくね?」


違うわよバカ。どうせボタンが弾け飛ぶほどの胸なんて持ってないわよ!


そういう意味じゃなくて、苦しいのよ。


好きすぎて、伝わってほしくて、苦しいのよ。


……忍には分からないこの胸の痛みを、いつか絶対分からせてやるんだから。


あたしのことが好きすぎて苦しいって、いつか思ってくれるでしょう?



シンデレラ。シンデレラ。


恋に焦がれて、忍に焦がれて、死んでしまいそう。


アナタもきっと、王子様を想う時こんな気分だったのね。