「忍はあたしの王子様なのよっ!」

「仮だけど」

バッサリ言われた!!


「へぇ~」とか言いながらあたしと忍を交互に見る隼人先輩がうっとうしい。


なんか、隼人先輩の方が忍のこと詳しそうで、ちょっと嫌。先輩なんだもの、仕方ないとは思うけど、やっぱり嫌。ていうか邪魔。


「まあ頑張れよ。じゃ、注文承ったんで、ごゆっくり~」


0.1秒でも早く出ていけと思いながら、目の前に座る忍を盗み見た、はずなのに目が合う。


「以心伝心?」

「まぐれじゃね?」


ポッと頬を染めたあたしを嘲笑うかのように鼻で笑う忍。


「……意地悪すぎる」

「今更じゃね?」


そうだけど、そうだけど! そんなとこも好きだけど! 

ここ、個室よ!? ちょっとくらいドキドキしてくれたっていいじゃない!


プクッと頬を膨らませても、忍はザ・ゴーイングマイウェイ。携帯いじり出しちゃうなんて、もう泣いていい? 泣き叫んでいい?


そう考えるとほんとに涙が出てきて、ああ泣くと思ったその時。個室のドアが勢い良く開いた。


「お待たせしましたぁぁぁあ! きゃー! こんにちはっアナタが隼人の後輩ねぇぇえ!?」


両手に湯気が立ち上る皿を持って現れたのは。


「「誰・・・?」」


長めのショートカットは茶髪で、背は高いけど色白の美人。


だけど……男? 女?