「ところでこのチンチクリンは誰だ?」


個室に案内するなり、あたしを指差しながら忍を見る隼人先輩。


チッ、チンチクリン!? まさかとは思うけどあたしのこと!? あんたのほうがよっぽどチンチクリンじゃ……。

「ああ、苺」

「否定してよぉぉぉぉお!!」

ああ、って! ああって!


「苺? ……ぶっ!」

「何笑ってんのよこのブサイク!」

「はぁぁぁあ!? 俺はこの店の№2だぞ!」


知らないわよ! 何が№よ! 人の名前笑う奴なんか下の下の下の下の最下層よ!!


「忍、あたしこの人嫌い」

「俺この和風パスタで」

「ちょ、忍お前相変わらずゴーイングマイウェイだな」


そこが素敵なんじゃないバカじゃないの。


隼人先輩はひょうひょうとメニューを眺める忍に溜め息をついてから、ジロリとあたしを見た。


「お前は何にすんだよ」

「忍と同じの」

「はい?」


だから、忍と同じのって言ってるでしょう!?


「苺、お前ミートソースにするべきじゃね?」

「じゃあそれで」


忍がミートソースも食べたいと思っているとはつゆ知らず。頼むと、隼人先輩はポカンと口を開けて更にバカに見える。


「……何、まさかお前忍にホの字!?」


何ホの字って。何それ恥ずかしい。酔っ払いのサラリーマンみたい。