「もっと違うことするから嫌わないで!」

「いや話聞いてた? 俺の30分無駄じゃね?」


だって! だって!!

うるっと涙を浮かべると、忍は片眉を上げて呆れ顔。


「あのなぁ、苺は充分問題児だから。お前が考えてるそれは、ただの嫌がらせにしか思えねえ」


嫌がらせ!?


「そんなつもりじゃないぃぃい~」

「分かったっつーの!」


そう言いながらめんどくさそうな顔して。分かってないじゃない。絶対これっぽちも分かってない。


「地球が5周するくらい好きなのに……」

「うん、謎じゃね? 何5周って」

「……1秒間に」

「とんでもねぇな」


そうなの。とんでもないくらい好きなの、忍のこと。


「はぁ……何か分かってきた」

「えぇ……眼鏡取っちゃうの?」

「お前の思考はあっちこち行くな」


首を傾げると、忍は眼鏡をブレザーの胸ポケットにいれて立ち上がった。


「帰るの? バスケ部? 休憩?」

「帰る」

「一緒に帰る!」

「ハイハイ」


正座していたあたしにためらうことなく手を差し伸べてくれる忍に頬が染まる。