「いた……くな……忍!?」
「……どけ、アホ」
「大丈夫!?」
倒れた椅子の上に忍、その上にあたしがいる状況で、どうやら忍は頭を床に打ったらしい。
「どう見ても大丈夫じゃなくね?」
うん、だってゴッ!とか変な音したものね。でも人として一応聞いたのよ?
「ゴメンね?」
「まずどけ」
グッと肩を押されて、あたしは忍から離される。いとも簡単に、あっさりと上半身を起き上がらせられた。
後頭部を撫でながら「イッテー」と言って起き上がる忍。
……あたしが暴れたせいだって言いたいんでしょ。忍がちゃんと答えないからじゃない!
ていうか、そんな、くっ付くのが嫌みたいに、すぐ引き離すことないじゃない!
「おい」
「……」
俯くあたしの額は大きな手によって押し上げられた。
「お前は?」
「……え?」
床に座ったまま向かい合うあたしと忍。少し乱れた茶髪の隙間から、奥二重の瞳が覗く。
「だから、お前は大丈夫かって聞いてんだろ」
ギュッと、胸が締め付けられた。