資料から目を離さないけど、素っ気ないけど、答えてくれる。
「つうか足イテェ」
邪魔だって言っても、追い出したりしない。
「どかないわよ」
「どくべきじゃね?」
いやよ。
「ねぇ、忍」
「何だよ」
「好きなタイプは?」
忍は資料から目を離してあたしを見た。悪戯に、微笑みながら。
「今のお前は王子に引っ付く召使いってとこだな」
ニヤリと口の端を上げる忍に、あたしの脳内は一旦停止。
……め、召使い?ってアレよね? 雑用するために雇われる、下女のことよね?
「……なっ……んであたしが、のんと燈磨と同じレベルなのよぉぉお!!!」
「ばっ! 暴れんな!」
冗談じゃないわ! ていうか質問の答えになってないじゃ……。
「「ぎゃーっ!!」」
――ガタンッ! ゴッ!
あたしと忍を乗せた椅子が揺れて、まさかと思った瞬間激しい音を立てて椅子が後ろに倒れた。