「……なんだチビ。俺の顔見て泣くなんて失礼じゃね? つか急に無言で俺の横に立ってんなよ」


だって昼休みなんだもの! 朝から願ってやっと会えたんだもの!


2-3の教室に来てすぐ、窓際の1番後ろに座る忍を見つけたあたしは涙がこみ上げた。


教科書片手にあたしを見上げる忍のキラキラ度といったら尋常じゃない。


「あぁーー!!!忍ぅぅう!!!」


――ゴツッ!


「イッテェ!!!」


抱き付くと、窓ガラスに後頭部をぶつけたらしい忍はあたしを押し返す。


「テメェこの! 脳細胞が死ぬだろ!」

「あたし今義姉にイジメられるシンデレラの気分なの! ていうかイジメられてたのよーっ!!!」

「はあ? 日本語喋れよ」


だから! 睡眠学習して休み時間になって忍に会いに行く前にメイクをチェックしようと鏡を覗いたら! 顔にファンシーな落書きされてたのよあの悪魔コンビに!

がっつり油性ペンで!!!!


「でも会えたからいいの」


メイクをやり直すハメになったけど、いいの。あの悪魔達はちゃんと祓っておいたから。


ピトッと忍の胸にすり寄ると、頭上から低い声。