「なんだ、湊磨くんか」

「なんだってヒデェなっ。久々に会ってそれ!?」


だってどうでもいいもの。


燈磨のお兄さん、湊磨(そうま)くん。


真っ赤なアシメの髪に、両耳にはたくさんのピアス。外見とは裏腹な、人懐っこい笑顔。例えるなら、躾のなってない大きい犬。


「てか燈磨とのんは? あ、分かった! またからかわれたんだろーっ」

「またって何よ! いつあたしがかわかわれたのよ!」


ケラケラ笑う湊磨くんに怨念を送っていると、「湊磨ー?」と聞き慣れない声。


「授業始まる……って、その子誰?」


……すごい爽やかな人来たわね。


長身で黒髪の短髪。アクセサリー類は一切身に付けておらず、着崩してない制服を見れば第一印象は自然とそうなった。


「ほら、前話したことあんじゃんっ! のんと透の幼なじみで、苺」

「え? あーあー! この子がそうなんだ? 初めまして。俺、大聖ってんだ」


ニカッと笑う大聖先輩。

そうか、この人が大聖………って! はぁっ!


「忍は!?」


勢い良く立ち上がったあたしに、湊磨くんと大聖先輩はビクッと体を揺らす。


そうだったわ! 湊磨くんと大聖先輩、忍と仲良しじゃないの!