「……上から目線のくせに何でモジモジしてんだよ」
「苺は理解されると照れ屋になるからねぇ」
なによもう! そう言うことなら早く言いなさいよっ! あたしが鬼みたいじゃない!
「あ、そうそう、それでね? 昨日あたし忍とロマンチックな再会を果たしてね?」
ニコッと顔を上げると、正座していたはずのふたりが消えていた。
「あー腹減ったー。売店行こーぜ」
「俺ケーキ食べたい」
スタスタと教室から出て行く燈磨とのんに、きっとあたし今鬼の形相をしてると思うわ。
「話を……聞きなさいよぉぉぉお!!」
ガラスの靴で踏んづけてやりましょうか!?
「くっ……逃げられた」
しばらくの間追い掛けっこをしていたけど、ふたりを見失ったあたしは疲労から売店に続く段差に腰掛ける。
あたしに走らせるなんて、鬼ね、鬼。もしくは悪魔。
ぐったりと横にある柱に寄りかかっていると、視界に男子の制服が入った。
「具合でもわりーの?」
腰パンから徐々に上を見上げていくと、真っ赤な髪をした顔見知りがあたしの顔を覗いていた。