「だって忍くんだろ? 聞かなくても知ってるっつうの」
「出逢い編から聞きなさいよ!」
そして昨晩のあたし=シンデレラ救出編までノンストップよ!
「だから、忍くんだろ? 昨日のスケボーの彼」
「そうよ! そうだったのよ! だからそこから………え?」
は?って顔したあたしを、ニヤニヤしながら見つめる燈磨と、こっそり鼻で笑ってくれちゃってるのん。
ちょっと。何で? あたし、忍が王子様決定とは話したけど、スケボーの彼の正体が忍だったなんて、まだ一言も報告してないじゃない。
「な、なんで…」
口をパクパクさせると、隣で頬杖をついてるのんが「あはっ」と笑ってあたしに人差し指を向けてきた。
「金魚」
「黙らっしゃいこのくるくるパーがぁぁぁぁあ!!!!」
「ぎゃあ苺! やめろっ! のんがハゲるーっ!」
――数分後。
椅子に座って腕を組むあたしの足下には、頭にたんこぶを作ってぶつくさ言う燈磨と、床を凝視して体を震わせる今にも泣きそうなのん。
抜け落ちた髪? ふん! たかが数本じゃない! そんなのまた生えてくるわよ。
「それで? あたしに嘘をついてたってことでいいのね?」
「「はい。スミマセンでした」」
「知ってたなら早く言いなさいよっ。何が知らないよ!」
あたしが昨日何時間ひとりで昇降口を張ってたと思ってるの!?
まあそれで忍に助けてもらえたんだけど、それとこれとは話が違うんだからね!