「俺帰るね」
「んじゃ俺も帰るわー」
白状者!!
昇降口がよく見える校庭へ続く階段に座っていたあたしの両隣から立ち上がったのは、のんと燈磨。
放課後になってかれこれ1時間。一向に“彼”が現れる気配はなかった。
「あたしを置いてくの!?」
「だってさぁ、俺らが待ってても仕方ないじゃん」
「そーそー。のん、俺んちでゲームしよーぜっ」
「賛成」
「全力で反対よ!」
ギッ!と睨み付けると、「何言っちゃってんの」という目で見下ろしてくるふたり。
最低! 女の子をひとり置いていくなんて! どっちか残ってくれたっていいじゃない!
そう同じように目で訴えると、燈磨は首を左右に振ってから「よく聞け」とあたしの鼻先に人差し指を向けてきた。
「もし俺らがいる時に王子が現れたらどうすんだよ。苺、誤解されんぞ」
「誤解?」
「俺らは幼なじみだけど、初対面の王子様はそうは思わないよ」
燈磨とのんの言う意味が分からず首を傾げると、ふたりは声を揃えて言った。