「イチゴ、へーき?」


顔を覗いてきた美形に、思わず硬直してしまう。


日の光で輝くプラチナの髪の隙間から、深いブルーの瞳。その瞳に、今起きたことを平気に映せたのかしら。


昴先輩も、“し”から始まるものがシンデレラだと思った?


奈々先輩も湊磨くんも、本当はあたしを連れてくるんだと思っていたのかもしれない。


ふたりは、透ちゃんを連れてきた忍にさっきまで緩んでいた頬を引き締めていた。


「平気よ」

「……イチゴ、excellent」


平気と言ったあたしに微笑む昴先輩。美しいけど、英語で話さないでほしいわ。


「エクセレントって、なんだっけ?」

「ぶふっ! ……立派だねって言いたいんだよ。それとも堂々としてるって言いたいの? 昴」

「んん! そー、リパ! イチゴ!」


ツが抜けてますけど。いや別にいいんだけど、立派なんかじゃないし。


透ちゃんと何か会話している忍を見つめながら、横目で昴先輩を見上げる。


「昴先輩は、平気な態度で見ていられないの?」


シンデレラとして、連れていかれた彼女を。


「ん、んん~……イヤだけど、ガマン……」

「昴はヤキモチ妬きやからなぁ、複雑なんよ」


眉間にシワを寄せた昴先輩の代わりに、翔太先輩が言う。


複雑、か。どちらかと言えば、あたしは悲しいけれど。