「ごめんなさい勝手に係に決めてごめんなさい奈々様大魔王様許して下さい」
「トールーー!!」
のんの言葉に透ちゃんは生気を失って、昴先輩はムンクみたいになってる。
「ぶは! まぁいいじゃん。ほら、忍くんがクジ見たよ」
「奈々……なんや黒いオーラ出てへん?」
キョウ先輩と翔太先輩が言ったとほぼ同時に、「はん!?」と忍が叫んだ。
「なんっだよコレ!」
意味が分からないと言うように叫ぶ忍と、得意げに微笑む奈々先輩。
……なに?
『1回引いたクジは戻さないでくださーい』
いつの間に実況席から出てきたのか、湊磨くんは箱にクジを戻そうとした忍にマイクを向ける。
『何を借りてこなきゃいけなかったんですかぁ?』
ニヤニヤと楽しそうに笑う湊磨くんにマイクを向けられて、忍は不機嫌そのもの。
奈々先輩は我関せずな感じで、戻ってきた別の生徒にクジを引いてもらっている。
「あり得なくね? おかしくね?」
『おかしくなーい! はいっさっさと借りてくる!』
「もはや借り物じゃなくね?」
会話が聞こえる程度の場所にいるあたしたちは、忍と湊磨くんのやり取りを見つめた。
「なんだろーね?」なんて言う透ちゃんに、昴先輩は首を傾げている。
『じゃあ、何を借りてくるのか今言っていい?』
「はん!?」
イラッとした様子の忍にひるむことなく、湊磨くんは歌うようにマイクを持ち直した。