『我らが生徒会長、湯本忍ー! さすが会長と言うか、学校にある物全ての場所を把握してるんですか何なんですかー!?』
湊磨くんの声が響き渡る校庭のど真中に、忍は2つ目の借り物を持ってきた。
ちょっと……いや、だいぶ目を疑う物を。
「……うちの学校にタヌキの剥製なんてあったんだ」
「つか、どこにあったんだよ。あれ本物?」
のんと燈磨が不気味がる中、忍は3つ目の借り物を決める為に奈々先輩が持つ箱からクジを引く。
借り物競走は計4回クジを引いて、1番早く4つ集めた人が勝ちみたい。今のところ、忍は1番……。
「おーっ! やってるねぇ~。さすが忍!」
後ろから聞こえてきた声に振り向くと、そこには背伸びする透ちゃんがいた。その後ろには昴先輩、キョウ先輩、翔太先輩も。
「透ちゃん……」
「はっ! 苺ちゃん大丈夫だった!? 怪我したんだって!?」
ズイッと迫ってきた透ちゃんに体を引いて、頷く。
「平気だけど……透ちゃん、仕事は?」
実行委員長の仕事、あるんじゃないの?
「奈々を見に来たんだよー。ちゃんと仕事してるかなっ……て、ヒィ!!」
「わー! トール! 死なないで!!」
真っ青になった透ちゃんの視線の先を見ると、奈々先輩がにっこりと微笑んでいた。
ちゃんと仕事してるわよふざけんなこのチビが、と思ってるに違いないわ。
「あはっ、アレ絶対、体育祭終わったら八つ裂きにしてやるって思ってるよ」
え? そこまで思うキャラなの奈々先輩って。