「好きなんだから関わるわよ!」

「じゃあ今は関わるんじゃねぇ!」

「意味分かんないわよ! 死ぬ気で追いかけてやる!」

「わかんねぇ奴だな! 何回来ても無駄だって言ってんだよ!」


もうヤダ、ヤダヤダヤダヤダ。そんなに透ちゃんに誤解されるのが嫌だって言うの!?


「知らないわよそんなの!」


涙をグッと堪えてから、眉間にシワを作る忍を見据える。左手をテーブルに掛けて、右手は忍へ伸ばした。


「透ちゃんに好きだって言えないくせに、偉そうに命令しないでよ!」


テーブルに膝をついて忍の胸ぐらを掴むあたしを、忍は目を見開いて見上げてくる。


「忍は何か努力したの!? 1度でも、透ちゃんに好きだって伝えようとしたの!? あたしに言うこと聞かせたいんだったら、告白くらいしたらどうなのよ!」


忍の頬に、水滴が落ちた。


それはあたしの涙だと分かっていたけど、吸い込まれそうなほど綺麗な瞳から、目を離すことは出来なくて。


「自分は告白出来ないくせに、好きだって言うあたしを突き放すなんて、何様なの」


ポタリポタリと、忍への想いが零れ落ちる。


ねえ忍。あたし、間違ってる? だって、そう思うんだもの。


忍は透ちゃんに好きだと言わないくせに、まるで自分だけがツライみたいに。


好きだと告白することがどれほど勇気のいることか、分かる?


あたしが簡単に、忍に好きって言ってたと思う?