「はー食った食った」

「ごちそうさまー」

……食べるの早くない?


まだ半分も食べていないあたしは、ふたりの空になったお皿を凝視する。いつものことなんだけど、最近やたらと早い。


しかも。


「さて出るか」


あたしまだ食べてるんですけど? 

そりゃ最近は食欲ないから別に良かったけど、自分たちだけ空腹を満たせたら満足なの? 最低ね!


「あたしまだ全然食べてないんだけど」


ちょっと反抗してみると、燈磨はポケットをあさり始める。


「飴やるよホラ」

「いらないわよ! バカじゃないの!?」


斜め向かいに座る燈磨に持っていた箸を突き刺してやろうかと考えていると、授業が終わった生徒たちが食堂に集まってきた。


無意識に忍の姿を探していた自分に気付いて、箸を置く。


「行こう苺」

「足りねぇなら売店で何か買ってきてやるよ」


……ああ、そうか。のんと燈磨は会わせたくないのね。忍にも、透ちゃんにも、きっと他の誰にも。


「……別に平気よ」


その一言で、のんと燈磨は自分たちの意図が分かったんだと理解したみたい。


燈磨は溜め息をついて、のんは俯くあたしの顔を覗きこんだ。