「トライアングル？　ん？　四角って何て言うの？｣

「スクエア？｣


放課後になって、どうしようか考えていると、のんと燈磨が会話を始める。


何を話しているのかよく分からないあたしは、忘れ物はないか鞄の中をチェックしていた。


「じゃ、俺忍くんとこ行ってくるね｣

「行ってらっしゃ……っは！？｣


立ち上がったのんを勢い良く見上げると、のんはキョトンと首を傾げる。ああ可愛いじゃないない｡


「忍って、何でよ！｣

「宣戦布告？しに行くの｣


ニコッと笑うのんに、背筋が凍る。のんが怖いとかじゃなくて、そんなことしても忍は興味がないだろうって現実が見えて｡


「そんなことに何か意味があるの！？｣


ないわよ絶対。宣戦布告しに行ったところで返ってくる言葉は、「はん？」だけよ！　間違いない！


「あるよ。苺には分からない意味が｣


何よそれバカにしてる？　あたしのこと、バカにしてる？


「苺。男には、やらねばならぬ時があるっ！｣

「燈磨うるさい｣


カッコつけたのか何なのか分からないけど、燈磨がショックを受けているのを横目で見ながら溜め息をつく｡


「じゃあ、昇降口で待ってる｣

「うん、すぐ行く｣


笑みを作ってから教室を出て行くのんを見つめていると、燈磨が呟いた｡