「暗っ!!」


授業が終わった後のんと教室に戻ると、燈磨が思い切り眉を吊り上げる。


「苺は目、冷やした方がいいぞ。ブッサイクだから」

「……」


……何よその、アレ?って顔。

今あたしがいつものように鉄拳を飛ばせるテンションだと思う? 残念ながら冷え冷えよ。


「おいぃぃい……何だよふたり揃って。普通にしてろよ」

「別に気まずくなってないよ」

「え? どのあたりが?」


もうホント黙りなさいよ!


「……いいよ燈磨、無理しなくて。ごめんね、ありがとう」


のんが申し訳なさそうに笑うと、燈磨は眉を下げる。


「……別に無理してねぇよ。俺は、苺にムカついてんだ」

「は!? 何でよっ!」

「お前がウジウジウジウジっしてからこうなったんだよ! このウジ虫!」


はーーーー!?!?


「誰がウジ虫よこのコバエが! 殺虫剤まいてあげましょうか!?」

「わーっ! 苺っ! 燈磨がハゲちゃうよ!」


燈磨の髪を握って引っ張ると、のんがあたしの手を掴む。


「うっさいバカ!!」


反射的にのんの頭を叩いてしまった時にはもう遅かった。サーッと血の気が引いていくのが分かる。


「ごっ……ごめん、のん!!」


何してるのあたし! この状況で何いつものノリになってるのあたし!