「「苺!?」」

「そうだけど、何よ」


次の日、教室に入ると、先に行っててとメールしておいたのんと燈磨が椅子から飛び上がる。


他のクラスメートの視線も、感じないわけではないけど……。


「そんなに変かしら」


鞄を肩から下ろしながら席に向かうと、ちょうど鞄を机に置いたところでのんが笑った。


「ううん、すごく可愛い」


ポッと頬を染めると、燈磨はぶち壊す一言。


「小学生みてぇ」

「ふんっ!」


ゴッ!と燈磨の頭に拳を振り落として、鞄の中をあさる。


「何すんだよ! 変とは言ってねぇじゃん!」


言ってないけどバカにしたじゃないの! 燈磨だってサイドにヘアピン付けてるなんて、女の子じゃないんだから!


「まあいいわっ、学食行くわよ!」


鞄の中から財布を取り出すと、ふたりは心底驚いた顔をした。


「何よ。寝坊したからご飯食べてないのよ」


別に緊張して眠れなかったわけじゃないから。心入れ替えてただけよ。いやホントに。


「……会いに行くの?」


信じられないという顔をするのんに「当たり前じゃない」と返す。


「やめないわよ。あたし、忍が好きだもの」

「マジで……? だって、言っちゃなんだけど、のんの姉ちゃんだぞ? あの透ちゃんだぞ?」

「勝ち目ないって言いたいの? そんなの知ってるわよ」


だから会いに行くのよ。押しまくるのよ、後悔しないように。


たとえ、恋が叶わなくたって。