「~っのドアホッ!!」

「!?」


んなっ・・・・・!


「何するのよぉぉお! 痛い本当に痛い!!」


心配して来てくれたんじゃないの!?


渾身のチョップを受けて、両手で頭を抱えながら涙目で忍を見上げる。


「何ノコノコ着いてってんだよ!」

「何って、別にいいじゃない!」

「良くねぇよアホッ」


苦い顔であたしを見下ろす忍に、急速に愛しさが込み上げる。同時に、切なさと涙も。


「だ、だって……」

「奈々に聞いて、のんと燈磨がいたから良かったけど……それ何だよ」

「平手打ち食らったんですよ」

「っちょっとのん! いいのよ忍! あたしだって平手打ち返したんだからっ」


のんが余計なこと言うから忍の眉が下がったじゃない!!


「忍のせいじゃないわよ! このふたりが昔っから無駄にモテるから……っ」

「ワリィ」


手の甲で、忍があたしの頬に触れた。ドキっとしたのは一瞬で、別の意味で鼓動が速くなる。


違う、違うわよ忍。

忍のせいじゃない。忍が謝ることなんてないのよ。だからそんな顔しないで。


……追いかけるのをやめろなんて、絶対言わないで。


忍の口が開きかけた時、咄嗟に目を瞑った。


「やっ……」

「苺ちゃん!!」


その声に、忍の手が頬から離れて目を開けた。見ると、透ちゃんと奈々先輩がこちらに向かって来ていた。