「忍に近付くのやめてくれる?」

「え、無理」


体育館の裏とか、またベタなところに連れてくるわねと思いながらも、言われたことにキチンと返すあたしって偉い。


バッサリ断るあたしに4人は目を見開いて、暫くしてまたキツイ目に戻った。


「無理って何だよ!」


いやだから、そのままの意味じゃない。ていうか、忍ってやっぱり人気あるの?


「1年のあんたがでしゃばらないでよ」

「忍はねぇ、女に興味ないんだから!」

「からかわれてるだけだって気付けよ!」

「忍だって迷惑してるんだっつーの!」


飛び火するように次々と好き勝手に言ってくれる4人に、溜め息しか出てこない。


「だったら何なのよ」


めんどくさいわね。


「用はそれだけ? もう帰っていいかしら」


あたしの時間は、美容と睡眠と忍が大半を占めてるんだから、あなた達に割ける時間は5分しかないのよ。


「何なのあんた……。王子王子って、忍の周りちょろちょろしてさ、頭おかしいんじゃないの?」

「しかもいっつも陞くんと燈磨くんといるし。他に友達いないわけ?」

「いや電波を友達にしたくはないでしょ!」

「てかさ、あんたは透と湊磨の弟と仲いいだけで、おまけで仲良くしてもらってんじゃん? 気付けよ!」


耳障りな笑い声に帰ろうとした足を止めて、あたしは思い切り鼻で笑ってみた。


だから女子は、嫌いよ。