よくよく教室の様子を見ていると、何だか先生がクラスのことで嘆いているみたいで、長くなりそうだなと思ったので諦める。
ため息をついてから、忍を待つためにホールに向かった。
一列に並ぶクラスのちょうど真ん中あたり。長方形の小さいホールの隅に作られた、簡素なベンチに腰掛ける。
他のクラスから徐々に生徒が出てきて、1年生のあたしをものめずらしそうに見てきた。その視線から逃れるように、俯く。
早く忍のクラスも終わらないかしら……。
胸の奥がざわざわする。昨日からずっと、ジクジク痛む。
正体は分かっているけど、面と向かいたくはなかった。
忘れてしまいたい。信じて、変わらない自分のままで、忍に好きと言いたい。
……忍の笑顔を見れば、きっと大丈夫。絶対に、大丈夫。
どのくらい経ったのか、大して時間は経っていないんだろうけど、無心になっていたあたしは目の前に広がる複数の足に気づくのが遅れた。
「小森 苺?」
顔を上げると、そこにはいたのはいつだったか体育館の前であたしを馬鹿にした、義姉を含めた4人の女子だった。
……義姉はふたりだったはずだけど? 継母入れたってひとり多いわよ。
「あたしに何か用?」
そう尋ねると、4人はもちろんと言うように気味悪く口の端を上げる。
「ちょっと来なさいよ」と、これまた義姉みたいに命令してくる4人に黙って付いていった。
心の中で、くだらないと思いながら。