「大好きすぎて困ってたのよ!!」


やっと口を出た言葉は、あながち嘘じゃない。


だって、好きすぎるから、忍に好きな人がいることが分かって悲しかったんだもの。


自分の答えに満足したあたしは、ポカンとする忍にフンッ!と自信満々の顔をして見せた。


「い、苺ちゃん・・・そんなに忍のことを!」


いや黙ってて部外者は。


キュンとしてそうな透ちゃんを見上げることなく、あたしは忍を見つめたまま。


「好きよ、忍。大好き」


まるで自分を元気づけるような、呪文のような告白。


でも本心なのよ、忍。あなたに好きな人がいたって、あたしの気持ちは変わらない。分かるでしょう?


「知ってる」


じゃあ、あたしを見ていて。何度だって会いに来るから、変わらず目を逸らさずにいて。


可笑しそうに、いつものように笑う忍に、胸が熱くなる。


泣きたくなるのをグッと堪えて、笑い返した。


「じゃあ今日も、デートしてっ」

「デートしたことなくね?」

「したじゃないこの前ぇぇぇえ!!」


「記憶にねぇな」なんて悪戯に笑う忍に怒っている中、あたしは感じる視線を無視し続けた。


湊磨くんや大聖先輩が何か言いたげにしていたけど、知らないふりをするの。


もう、聞きたくない。


忍以外の言葉なんて、あたしには必要ないのよ。