「………」

俯くあたしの頭上から、翔太先輩の明るい声が降り注ぐ。


「ま、まあアレやん! 別に知らへんでも、忍を落とすってことは変わらへんやろ!?」


何言ってるのよバカじゃないのそのぴょんぴょん外にハネてる髪むしるわよ。


その秘密が、あたしにとって不利だったらどうするのよ!


「知ってて損はないじゃない。貴方が奈々先輩の彼氏って、変!」

「んなぁぁあ!?」

「あはははっ!」

「ショータ、ガンバて」

「なんなん!? 透とのんの幼馴染みいうからどんな天然かと思うたら! アカンやん! 奈々寄りやん!」

「あたしがあのアホ姉弟と同じなわけないじゃない! むしろ御免よ!」

「ははっ! 何か、苺ちゃんなら大丈夫そうだよね」


キョウ先輩は笑いすぎて出た涙を拭いながら、大聖先輩と同じことを言う。


そうか、この3人が知ってるってことは、大聖先輩と湊磨くんも知ってるってことか。


「……はっ!」

「「「え?」」」


ちょっと待って。いやいや落ち着くのよ苺。もしかしなくても、知ってるんじゃない?


“もうやめればいいのに”


のんが、言った。

忍の秘密を、知ってるから……?