「苺ってK駅だろ?」

「そうだけど」


いいわよ別に。送ってくれるかもなんて期待してないもの。


あたし、健気だから。シンデレラだもの。


「歩きでいいだろ?」

「……え?」

「はん!? だから、歩きでいいだろって」

いや、何が?

「スケボーのがはえーけど、忘れたし」

「何の話してるの?」


立ち止まると、忍は気づいて顔だけ後ろに向けた。


奥二重の瞳に見つめられて、あたしの胸はドキドキとうるさい。


「お前やっぱバカじゃね? 駅まで送るのに、歩きでいいかって聞いてんだよ」


シンデレラ、奇跡が起きました。


「送ってくれるの!?」

「理解遅くね?」

分かりづらいもの!!


「歩きでいい! むしろ歩きがいい!!」

「スケボーのが良くね?」


嫌よ。スケボーに乗ってる忍は好きだけど、歩いた方が長く一緒にいれるじゃない。


「ふふ、デートっぽい!」


嫉妬でモヤモヤしていた気分は晴れて、ご機嫌に笑うと忍は首の後ろを掻きながら真面目な顔をしてあたしを見つめた。


「どのあたりが?」


ジーザス……。