ユウキってのは、俺らの先輩で今年の春にこの学校を卒業するはずだった。


地元では有名な奴だったが卒業を前に上京した。


単身で東京という都会に飛び出したユウキは、たった半年で夢だったモデルになって活躍中。


とにかく、俺らの憧れだった。


『俺は絶対ぇ夢叶えてやる』


この屋上で、毎日語られたユウキの熱い思い。


それが叶ったユウキは、自信に満ちた表情で退学届けを出して行った。


学校では素行が悪く、問題児だったユウキも今じゃ立派な社会人。


「俺らもいつか、夢とか見つかんのかな」


ふと、陽平が呟いた。


「さーな」


俺はそう応えながら煙草を押し消した。


「とりあえず今を楽しみてぇな」


そう言って笑い合いながら、俺達は二年A組の教室へと向かった。