「そんなこと言わないで
乗せてよ。」




「お前重いから乗せたら
キツィんだよ〜。」




そんなこと言っても執汰は
私を自転車の後ろに
乗せてくれるんだ




幼なじみの特権





「セーフ、ありがとね。
明日もよろしくう」




「明日は笑和がこげよ」



「イヤだよ。執汰のトレーニングに
付き合ってるんだから感謝しなさい。」



「何がトレーニングだよ。
もう乗せねぇぞ」




「え?!それ困る。
お願い乗せて」



執汰はふっと笑って
私の頭をなでながら


「遅れるなよ」


そう言って走って行った。

「執汰も、遅刻しちゃだめだよ」


少し大きな声で執汰の
背中に向けて言った



執汰は走りながら手を振った


暖かい風と共に去ってゆく

執汰を見つめてしまう




桜が散りだす春日和。