少し寂しいこっち側の校舎には、もうほとんど人がいない。

一番端っこにある教室に迷わず入ると電気を付けた。
明るくなった視界に、早速教科書を取りに行く。

いつもの席、いつも自分が置く場所に私に忘れられた教科書はちゃんとあった。
確かめるように眺めてから、自分のものだと確信して帰ろうとする。

…その時、気付いてしまった。


少し前まで、毎週のように書かれていた詩。
その場所に新しい文章が書かれていたのだ。


"見つめる先、通り過ぎる視線。

その先が誰かなんて分かってる。

近づいても、遠くなる射程距離。

どうしたらいい?"