私は何を言っているのだろう?



桜ちゃんには負けない?



………何を言っているの?





亜紀は、何だか心の中に淀みのようなものが生まれた気がした。




この感情は何と言うのだろう?



この、少しムッとくる気持ちは何なのだろう?




亜紀は今までに感じたことのない感情に戸惑っていた。



そして、急に怖くなった。




こんな気持ちが自分の中にあるだなんて思ってもいなかった。




「何だか…嫌だな………

こんな………こんな変な気持ちは嫌だな………」




そうつぶやいて、胸のあたりで手をギュッと握りしめた。



気持ちを必死に押し殺すように強く握った。





………そして、ケーキにへらが突き刺さっているのに気づき、慌ててそれを引き抜いた。