『上流の方たちの暮らしは、なんだか面倒がたくさんありそうです』
って、佳子ちゃん、笑ってたわねえ。

それでも、半年もすれば晴れて重役夫人だっていう、自信があったんでしょうね。

佳子ちゃん自身も昔より偉くなったような、話しぶりがちょっとお高いような気がしたけど…」



そこまで聞いて私は、ついこの間の母の様子を思い出した。

転院して新しい部屋を与えられたわけを、母は殆ど理解できなかった。

そして、どう勘違いしたのか、にわかに尊大に振る舞うようになったのだ。