「で?
香菜さん、島村さんって彼氏ができても、まだ成哉君とは会ってたって言ってましたよね?
一体いつ会わないようになったんですか?」


千佳ちゃんは少し落ち着くと、また続きを促してきた。


私は記憶をさかのぼった。


「えーと、私が島村のプロポーズを受けたのが27歳の9月。
それからお互いの親に挨拶を済ませたり、結納を交わしたり、式場を決めたりっていろいろあって、式を翌年の4月に挙げることになったの。
で、3月に成哉に会ったときに、結婚することになったって報告して。
それが最後」


「3月?それまで結婚すること、言ってなかったんですか?」


「うん」


「9月には決まってたのに?」


「うん」


「それって、ギリギリまで迷ってたってことじゃないんですか?」


疑うような目で見てきた千佳ちゃんに、私は笑って首を振った。