普段はあまり気にならないけれど、こういうことを考えると、千佳ちゃんともジェネレーションギャップを感じる。


私は少し説明を試みることにした。


「私が成哉と出会ったのはほんの5,6年前のことだけど、その頃はまだ、女の結婚適齢期は20代半ばっていう考えが主流だったの。
私自身も、それが普通だと思ってた。
成哉に不倫を打ち明けられた頃、同期の最後の女子社員が寿退社してね。
実家の母からは『中学の時の同級生のゆみちゃん、来月二人目を出産するために里帰りしてるみたいよ、私も早く孫の顔が見たいわ』なんてプレッシャーかけられてたし。
そんな状況だったから、すごく焦ってたの」


千佳ちゃんは私の話に驚きながらも、「ふうん、そうだったんだあ」と頷いていた。


「でも……」


それでも納得のいかない表情の千佳ちゃんを、私は目で促した。


「でも、島村さんにプロポーズされたとき、成哉君のことは全然考えなかったんですか?」


私は当時の自分に思いを馳せた。