「できないなあ。
香菜さんは?」


こちらを向いた成哉に苦笑いを返した。


「私も無理」


成哉も苦笑いを浮かべて言った。


「よく電車内とかでもキスしてるカップルいるけど、家帰ってやれって注意したくなる。
制服姿でそういうことやられると、なんだかなあって虚しくなる」


それを聞いて、私は思い出した。


「そういえば昔、試験会場の学校でも見たって成哉言ってたよね」


「そう。
俺、そういう場面によく出くわすんだよなあ」


眉間にしわを寄せて、成哉は本当に嫌そうな表情を浮かべた。


私はなんだかおかしくなってクスクス笑い続けてしまった。