ぼやける視界で着流しの夜さんの顔を見た―

整った顔立ちだった、肩までの髪はサラサラしていそうだった。今でいう甘いマスクってやつ?


そんな事を考えていると――、

着流しさんが

「もう大丈夫みたいだな」
いつの間にか涙はとまっていた―。

「お前名前は?!
…ッ名前聞く時は先に名乗れだな!!」

にかっと笑い

「俺は、葉月ってんだ!」
―?!
さっき言ってた“夜”ってのは名前じゃなかったの?
「夜ってのは名前じゃなくて俺の…なんていうの?この町での通り名だょ」

ふーん…そうなんだぁ

って!!
「あなた心が読めるのッ?」

葉月は目をぱちくりさせてからプッと吹き出した―

「ハハッ、本当に面白いな!顔に書いててわかりやすかったぞ?」

(そんなにわかりやすいかな?)
花音は独りで百面相していた。

「ハハッ、で名前は?」


「花音…雪花音。」

「花音か…珍しい名前だな?!」


そうかなぁ―?
普通じゃないかな…


ていうかッ…
今此処どこなんだ?