シャッ―


戸惑いもなく刀を抜き、花音の首に刃をあてがった。
「ッッッ!」

恐怖のあまり声はでなかったが、目には涙が溜まって行くのがわかった―。

「口がきけぬのか―答えねば斬るッ!」

後ろに居る男の姿は見えないし、恐くて声は出ないし涙がついに目から零れ落ちた―――

(恐いッ…コワイッッ)


花音は何も考えられなくなったのだった。

「答えられないのか。ならば斬るッ」

スッ――


刀が振り上げられたのがわかった。


(死にたくなぃッ―)
腰が立たず逃げる事も出来なかった、花音は振り下げられた刀にギュッと目をつむった――。





「止めな、坂井家の兄ちゃんよ!!」