だって、ね?
面白い程みんな同じ。

瞳に光を宿さない人々の代わりに人口の光がこの街を照らしてくれている…そんな気がした。



ホテルを出てすぐ、向かいの道路に停まった見知った車に顔を曇らせる。



「お疲れサマ―」

「うん」



車に乗り込むと、運転席から振り返り携帯を耳に当たまま声を掛けてきたのは幼馴染の奏次(そうじ)。

仕事を終わった直後に幼馴染と顔を合わせるのは、あまりいい気はしない。


まあ仕方ない。
あたしをこの店で働かせてくれたのは奏次な訳だし。

でも、何かね。



「今から行く」



それだけ言って携帯を胸のポケットに仕舞い、点けていたハザードランプを消し――


ゆっくりと車を走らせて行く。


横顔は昔と変わらないのに、高級ブランドのスーツを着こなし高級車を乗りこなす奏次も、この街に埋もれた1人なんだろうか。


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