いつも一枚上手な希さんも、奏次の話には滅法弱い。
「ほんと、そんなんじゃないんだけどさ…奏次、元気?」
「…最近来てないんですか?」
「うん…」
「このところ忙しいみたいだけど、元気ですよ」
「そっか、ならいいの。…ごめんね?」
「いえいえ」
そんな希さんが可愛くもあり、
「じゃあ私行きますね」
「うん、連絡するから」
切なくもある。
見送る希さんの気配を背中に感じながら複雑な感情を抱いたまま、逃げるようにして美容院を出た。
.
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…