次の日、美容院を予約して居たことに気付い私は、朝早くから部屋を出た。
マンションのエントランスに行くと、偶然自動ドアから入って来た奏次と出くわした。


「よお」


そう声を掛けて、眠そうに大きな欠伸をする。


「今帰り?」

「あぁ。仕事残ってたからな」

「ご苦労さんだね」

「どっか行くん?」

「うん美容院に」

「そうか。送ってやろうか?」

「いい。すぐだし」



あと3時間もすれば仕事な筈だし、ただ単純に寝かせてあげたくて奏次の申し出を断った。


「ふ―ん」


興味なさげに呟いたかと思えば、何故か見定めるように視線を上下させる奏次。


「何か変?」


そしてふっと鼻で笑い


「見てるだけで暑苦しいな」


紫外線対策バッチリな私の格好を馬鹿にした。


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