コーヒーを飲む為ヤカンに火を掛けながら、奏次の迎えを回避するべく言い訳を考える。


「奏次、明後日お昼過ぎから出る」

「ん?どうした?」

「稼ぎたいし」


奏次の迎えが嫌だなんて、面と向かって言える訳ない。


「お前なら夕方からでも十分稼げるさ」

「足りないの」

「ならラストまで出ればいいじゃねぇか」


もお、そこは特技を生かしてよ。


何か言い返す言葉はないか、小さい頭で一生懸命思考を巡らしていると、タイミング良くさっき火に掛けたヤカンが騒ぎ出した。


「とにかくお昼から出るから」

「おい?」

「お湯沸いてるの。じゃあね」


ピッと短い音のあと切れた自分の携帯をテーブルへ置き、コンロの火を消した。


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