「いや、もう必要ない」 …ん? あぁ、さっきの人。 低い声で呟いたあと携帯を閉じる音がして、その声の主がさっきのデカい男だとすぐに分かった。 今電話終わったんだ。 …タイミング悪いこって。 何だか今日は早く寝れる気がす―――――… ぐいっ 「きゃっ」 誰かに腕を掴まれてよろめいた私を、掴んだ手だけで支える誰か。 え、何。 何なの。 振り向くと、腕を掴んでいたのはさっきの迷惑男だった。 .